ソフトウェア性能研究者でGitHub開発者のDaniel Lemire氏が、コンピューターメモリの歴史的価格推移を分析した結果を公開し、業界内外で注目を集めている。同氏によると、数十年かけて指数関数的に下落してきたRAM価格が、わずか数ヶ月のうちに約20年分の値下がり分を帳消しにされてしまったという。「単位あたりのRAM価格は、2007年当時と同水準にある」と同氏は述べており、これは歴史的な異常事態だと指摘している。
スタンフォード大学のDAMプロジェクトが収集・公開しているサードパーティデータによると、現在のDDR5メモリは1GBあたり11.41〜13.28ドルという価格帯にある。この水準が最後に記録されたのは2008年のことで、当時はDDR2メモリが同程度の価格で流通していた。インフレ調整後の実質価格で見ても、現在のDDR5価格に相当するのは2011年頃のDDR3価格であり、いずれにせよRAMが現代においてこれほど割高になっているという事実は変わらない。
この価格高騰の主因は技術的な後退や製造上のボトルネックではなく、AIブームによるHBM(広帯域幅メモリ)への爆発的な需要増にあるとされている。メモリ生産量は年間約20%のペースで増加しているものの、AI向けの需要がそれを大幅に上回るスピードで拡大しているため、市場全体のメモリ価格を押し上げる構造になっているとみられる。データセンター向けAIアクセラレーターに大量のHBMが投入される一方で、コンシューマー向けDDR5やLPDDR5の供給にも影響が及んでいる状況だ。
Lemire氏は今後の見通しについて、「AIシステムがこれほど大量のメモリを必要としない手法が開発されるか、あるいはメモリをより速くより大量に生産する革新的な方法が見つかるか、そのどちらかだろう」と述べている。コンシューマー向けRAMの値下がりを期待するユーザーにとっては、AI需要が落ち着くか、製造技術が需要を上回るペースで進化するかという二つのシナリオを待つことになりそうだ。現時点でいつ価格が正常化するかを予測することは誰にもできないというのが同氏の見解である。
管理人コメント
2007年水準って、当時まだ「メモリ1GBで充分でしょ」と言われていた時代ですよ!?AIがせっかく下がってきたRAM価格を「リバイバルブーム」で復活させるとは、技術の歴史にまさかのリターンズ。ゲーマー的には「20年前の価格でRAMを買わされる」という新感覚のレトロゲーム体験です。早くAIにメモリを節約する知恵をつけてもらいたいものですね。








