OpenAIがBroadcomと共同設計したAI推論用アクセラレーター「Jalapeño(ハラペーニョ)」について、初の性能数値が公開された。半導体調査会社SemiAnalysisが運営する推論ベンチマーク「InferenceX」を使った試験では、NVIDIA Blackwell世代のシステムに対し、電力1kW当たりの処理量が最大1.9倍となった。
Jalapeñoの消費電力は700Wで、比較対象となったNVIDIAの最上位システムは1,400W。応答が完了するまでの遅延も最大3.6倍短く、DeepSeek R1では利用者を1人だけ接続した条件で毎秒700トークンを超えたという。
試験対象にはGPT-OSS 120B、DeepSeek R1 670B、1兆パラメーターのKimi K2.5が使われた。InferenceXはチップ単体の演算性能ではなく、利用者が質問を送り、AIが回答を返し終えるまでの推論処理全体を測定する。
ただし、今回の比較には大きな条件差がある。Jalapeñoは15.4TB/sの帯域を持つHBM4を搭載する一方、比較されたBlackwell世代は1世代前のメモリを使用している。SemiAnalysisは、同じHBM4を採用するNVIDIAの次世代GPU「Rubin」と比較する方が公平だと指摘した。
検証に使われたJalapeñoは最初期のA0ステッピングで、改良版のB0はすでに製造工程へ入っているとされる。一方、試験は短い入力と1往復の応答に限られ、複数回のやり取りやキャッシュ管理を伴うAIエージェント型の負荷は含まれていない。
数値を提示したのはOpenAIであり、SemiAnalysisは試験に立ち会ったものの、ベンチマーク一式を独立して実行したわけではない。このため、今回の結果は第三者による完全な再現検証ではなく、OpenAIが公開した測定値をSemiAnalysisが確認したものとして扱う必要がある。
Jalapeñoは2027年まで量産出荷されない見込みで、個人向けPCへ搭載される製品ではない。それでも、OpenAIが推論処理をNVIDIA製GPUだけに依存せず、自社設計チップへ移す動きは、HBM需要やデータセンター向けGPU市場の競争構造を変える可能性がある。実力を判断する次の基準は、同じHBM4を搭載するRubinとの条件をそろえた比較となる。
出典:Forbes JAPAN
管理人コメント
電力効率最大1.9倍。名前はハラペーニョですが、数字はかなり辛口です。ただし相手のBlackwellはHBMが1世代古く、測定値を出したのもOpenAI。同じHBM4のRubinと並べるまで勝敗判定は早いです。それでもNVIDIA一強の推論市場へ、自社チップで割って入る準備が進んだ意味は小さくありません。








