国内BTO市場・週間ブリーフィング 8月第3週|RTX 5060 Ti 16GBが爆上がり、入門用GPUも品薄悪化へ

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今週の国内BTO市場は、新しいCPUやGPUの発売よりも、GPU価格と部材供給の悪化が大きな話題となりました。なかでも注目したいのが、RTX 5060 Ti 16GBの価格上昇です。

8月14日時点の秋葉原では、安価な11万円台の製品が売り切れ、一部店舗では15万円前後のモデルだけが残る状況も確認されています。一方、上位のRTX 5070は11万円台から販売されており、下位GPUのほうが高いという異例の価格逆転が発生しています。

さらに年末に向けてエントリーGPUの供給が厳しくなる可能性があり、DDR5やNANDも値上がりが続いています。つまり今週は、「PCが一気に高くなった」というより、今後BTOメーカーが現在の価格と構成を維持できるのかが怪しくなってきた1週間です。

そのほか、AMDの新ドライバー「Adrenalin 26.8.1」や、DLSS 4.5/Dynamic Multi Frame Generationの対応タイトル追加など、ベンチマーク環境に関係する動きもありました。今週の国内BTO市場で押さえておきたいポイントをまとめます。

目次

RTX 5060 Ti 16GBが15万円前後まで高騰、RTX 5070より高い逆転状態に

今週もっともインパクトが大きかったのが、RTX 5060 Ti 16GBの国内価格です。8月14日時点の秋葉原では、11万円台で販売されていた安価な製品が売り切れ、一部店舗では15万円前後のモデルだけが残る状況も確認されました。

一方、RTX 5060 Ti 8GBは7万円台、さらに上位のRTX 5070は11万円台から販売されています。

RTX 5060 Ti 16GB:約15万円
RTX 5070:11万円台~

RTX 5060 Ti 16GBはVRAM容量こそ16GBありますが、純粋なゲーム性能ではRTX 5070が上です。そのため、RTX 5060 Ti 16GBが15万円前後まで上昇している状況では、ゲーム用途で積極的に選ぶ理由はほとんどありません。

VRAM 16GBを重視する場合でも、価格次第ではRX 9060 XT 16GBが候補になります。さらに予算によっては、より上位のRX 9070 XTまで比較対象に入ってきます。製品グレードと値札の順番が、完全に迷子です。

なお、RTX 5060 Ti 16GBの価格高騰は国内だけの話ではありません。海外では米Neweggの最安モデルが779.99ドルまで上昇し、英国でもRTX 5070を上回る価格になるケースが確認されています。

BTOならRTX 5060 Ti 16GBが割安なケースも

ただし、BTOゲーミングPCについては少し事情が違います。GPU単体価格が急上昇しても、BTOメーカーが確保済みの在庫を使用している場合などは、完成品価格へすぐに反映されるとは限りません。

そのため現在は、RTX 5060 Ti 16GB、RTX 5070、RX 9060 XT 16GB、RX 9070 XT搭載BTOを、GPU単体価格ではなくPC本体価格で比較することが重要です。

特にRTX 5060 Ti 16GB搭載機とRTX 5070搭載機の価格差は要チェック。価格差が小さければRTX 5070搭載モデルを優先したいところですが、RTX 5060 Ti 16GB搭載機だけ価格改定が遅れていれば、GPU単体とは逆にBTOでは割安になっている可能性があります。

8月中のキャンペーン終了後となる9月以降は、BTO側でも価格改定が広がる可能性に注意したいところです。

年末に向けてエントリーGPU不足が悪化する可能性

高くなっているRTX 5060 Tiを避けて、RTX 5050やRTX 5060など安価なGPUを選べばいい。残念ながら、その逃げ道も安全とは限りません。

ZOTACなどを傘下に持つPC Partnerは、2026年後半にGPUとグラフィックスメモリの供給がさらに厳しくなり、特にエントリーGPUの不足が深刻化する可能性を示しています。同社の2026年前半のグラフィックボード出荷数は前年同期から減少しており、今後も供給面の厳しさが続く見通しです。

低価格帯ほど価格競争が激しいため、部材コストが上昇した場合、メーカー側が価格だけで吸収するのも難しくなります。RTX 5050やRTX 5060など比較的安価なGPUにも影響が広がれば、「高いGPUを避けて下位モデルを買う」という選択肢まで値上がりする可能性があります。

BTOゲーミングPCについても注意が必要です。メーカーが販売価格を維持しようとした場合、単純な値上げだけではなく、メモリ16GB化、SSD容量削減、GPUの下位モデルへの変更など、標準構成そのものが調整される可能性があります。

今後は「このPCはいくらか」だけではなく、先週と同じ価格で何が入っているのかまで確認する必要がありそうです。

DDR5高騰止まらず、32GB標準BTOにも影響か

GPUだけではありません。DDR5メモリについても、値下がりを期待して待つのが難しい状況になっています。

ドイツではDDR5の平均価格が2025年7月と比べて約5倍まで上昇しています。特に32GB、48GB、64GBといった大容量キットの値上がりが目立っています。

もちろん、ドイツで約5倍になったからといって、日本国内のDDR5が同じ倍率まで値上がりしたという意味ではありません。ただし、世界的なDRAM供給の逼迫が続けば、国内BTOにも影響が及ぶ可能性があります。

現在はメモリ32GBを標準搭載するゲーミングPCも珍しくありません。しかし部材価格が上がり続ければ、「本体価格を上げる」だけではなく、「32GB標準を16GBへ戻す」という形で調整される可能性も考えておく必要があります。

BTOを比較するときは、価格だけではなく標準メモリ容量まで確認したいところです。

SSDも安心できない、NAND不足は2030年前後まで続く可能性

SSDについても楽観できません。SSDコントローラー大手PhisonのCEOは、NANDフラッシュメモリの供給不足について、需要に追いつくまで今後4年ほどかかる可能性があると警告しています。

NANDは工場への投資を決めたからといって、翌月から大量生産できるものではありません。新たな生産設備への投資から実際の供給開始までには長い時間が必要となるため、需給改善が2030年前後まで遅れる可能性があります。

BTOゲーミングPCでは現在、1TB NVMe SSDが標準的な構成になりつつあります。しかしSSD価格の上昇が続けば、1TBから500GBへの標準構成の縮小も警戒したいところです。

本体価格が変わっていなくても、SSD容量が半分になれば実質的には値上げです。今後のBTO比較では、メモリ32GBとSSD 1TBを維持しているかどうかも、コストパフォーマンスを判断する重要なポイントになります。

AMD Adrenalin 26.8.1公開、ただしベンチ環境は要注意

AMDは8月20日、Radeon向けドライバー「AMD Software: Adrenalin Edition 26.8.1」を公開しました。今回のアップデートではRX 9050 4GBの製品サポートや新作ゲームへの対応が追加されています。一方、FSRやAFMFに関する大型機能追加はありません。

むしろベンチマークを行う場合は、既知の問題に注意が必要です。『Call of Duty: Modern Warfare 4』ベータでは、FSRアップスケーリングやフレーム生成が無効と表示される場合があります。

またRX 9000シリーズでは、『Starfield』がクラッシュする場合があり、問題が発生する環境では26.7.1へのロールバックが推奨されています。さらにWindows 10では、インストール後にSmart Access Memoryが無効になる場合があります。

そのためベンチマーク用途では、単純に「最新版だから26.8.1へ統一」とするのは避けたほうがよさそうです。特に『Starfield』については、測定環境によって26.7.1を継続使用する判断も必要になります。ドライバー更新時は、測定に使用したバージョンも必ず記録しておきたいところです。

DLSS 4.5/Dynamic MFGの対応タイトルも増加

NVIDIA関連では、『Mortal Shell II』『The Sinking City 2』がDLSS 4.5に対応しました。RTX 50シリーズでは、NVIDIAアプリを通じてDynamic Multi Frame Generationも利用できます。

対応タイトルが増えていること自体は歓迎ですが、現時点ではこの2タイトルだけでゲーミングPCの購入判断が大きく変わるほどの材料ではありません。むしろ注目したいのは、Dynamic Multi Frame Generationを実際に利用した場合の効果です。

今後検証する場合は、フレーム生成前のfps、フレーム生成後のfps、1%Low、遅延、画質を分けて確認する必要があります。表示fpsだけが大きく伸びても、操作感や元の描画性能まで同じ倍率で向上するわけではありません。

対応タイトル数よりも、実際にどこまでゲーム体験が改善するのかを見たいところです。

今週のまとめ|値上げだけでなく「標準構成の縮小」に注意

今週は、国内市場を大きく動かす新しいデスクトップCPU/GPUの正式発売や、主要BTOメーカー全体に広がる大規模な標準構成変更は確認できませんでした。その一方で、今後のゲーミングPC価格を考えるうえでは無視できない材料が一気に増えています。

特に重要なのは、RTX 5060 Ti 16GBの価格上昇です。15万円前後まで上昇したモデルについては、RTX 5070だけでなくRX 9060 XT 16GBやRX 9070 XTまで含めて比較したほうがいいでしょう。

さらにエントリーGPU、DDR5、NANDでも供給不足や価格上昇への警戒が強まっています。BTOメーカーがコスト上昇をすべて販売価格へ転嫁するとは限らず、その代わりに「メモリ32GB → 16GB」「SSD 1TB → 500GB」といった標準構成側で調整される可能性もあります。

「値上げしていないから安心」ではなく、中身が変わっていないかまで見る。しばらくのBTO選びでは、ここが重要になりそうです。

管理人コメント

RTX 5060 Ti 16GBが15万円前後で、RTX 5070は11万円台。下位モデルが上位モデルを値段だけ追い越す、なかなか豪快な珍現象です。しかも安いGPU、DDR5、SSDまで雲行きが怪しい。今後のBTOは「3万円値上げしました!」より、「価格は据え置きです。ただしメモリとSSDを減らしました」が増える可能性にも注意。しばらくは値札だけ見て安心せず、中身まで確認。BTO選びがちょっとした間違い探しになりそうです。

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