AMDが、複雑なアニメーションを含むレイトレーシング環境で、GPUメモリ消費と更新処理を大幅に減らす新手法を公開した。約2万5,000本の植物を配置したデモでは、LOD適用後も1フレームあたり約5億ポリゴンをレイトレーシングし、Radeon RX 9070 XTで1080p・60fps超を記録している。数字だけでもかなり大きいが、この研究の本丸は描画性能そのものではなく、従来方式なら約80GBに達するBVH用メモリを約1.7GBまで削減した点にある。
レイトレーシングでは、光線とポリゴンの交差判定を高速化するためにBVHと呼ばれる構造を使う。ところが、大量の植物や群衆のように個々のオブジェクトが変形すると、そのBVHも繰り返し更新する必要があり、メモリ使用量と演算負荷が急増する。AMDは高密度なジオメトリを低解像度の四面体ケージで包み、ポリゴンそのものではなく外側のケージを変形させることで、内部のジオメトリとBVHを再利用できるようにした。この手法により、アクセラレーション構造のメモリ使用量は従来方式の約47分の1、BVH更新時間は90分の1以下まで削減されたとしている。
ただし万能な方法ではない。細かな表情やメッシュ形状そのものが大きく変わる複雑なアニメーションには向かず、草木、群衆、遠景キャラクターなど、大量に配置されるオブジェクトで特に効果を発揮する。現時点では製品化されたRadeonの新機能ではなく研究段階だが、AMDはDirectX Raytracing向けサンプルやC++ライブラリの開発も進めている。GPU性能をさらに引き上げて力ずくで処理するのではなく、レイトレーシングが重くなる原因そのものを減らす方向から性能を伸ばせる可能性を示した技術だ。
出典:Wccftech
管理人コメント
5億ポリゴンを60fps超も派手ですが、個人的にはBVH用メモリを80GBから1.7GBまで落としたほうがインパクト大。GPUをさらに巨大化して押し切るのではなく、処理そのものを軽くする方向です。まだ研究段階ですが、草木や群衆の多いゲームで実用化されれば、レイトレーシングの重さを根本から減らせる可能性があります。








